JK1FNL/VK4

  5-9 May '09 

 2009年5月の オーストラリア ハミルトン島での運用記です。




往復航空券7,000円

 3月中旬のことです。5月の連休は、普通に休めそうなことがわかりました。同僚が連休前に都合で少し長めに休むため、その時期は避けなくてはなりませんが、連休後なら少し追加して休みが取れそうです。さっそく夫婦での海外旅行を計画し始めました。
 前回の旅行がオーストラリアのケアンズということで、アマチュア無線的にはあまり価値あるところではなかったため、大型連休は少し珍しいところに行きたいなと考えていました。
 そんなとき、無線仲間とのメーリングリストで、驚きの情報が。

   ジェットスター航空が「レッツゴー オーストラリア 感謝セール」で
   3/16〜18の3日間限定、成田〜オーストラリア(ケアンズorゴールドコースト)
   の往復航空券を7,000円で販売しています。


 じつは、7,000円というのは、いくらなんでも誇張表現だよジェットスターさん、てな感じで、別途必要な空港施設使用料、燃料サーチャージなどを含めると往復で38,000円程度になってしまいます。
 とはいえ、夫婦ふたりで70,000円台ということで、アマチュア無線的には面白くないはずのVK行きのチケットを押さえることに決めてしまいました。
 ところが、行き先を迷っているうちに、よい日程の便が次々と埋まってしまいました。えいやとばかり、連休後数日間の休暇を追加するスケジュールに... いざとなったら、ネットで連絡取って、旅先で仕事しよう...


ノーフォーク島に行きたかった

 アマチュア無線的に面白いところとして、VK9N ノーフォーク島に行きたいと考えました。その可能性を残すため、行き先は、ケアンズではなくゴールドコーストにしたのです。ゴールドコーストの玄関となっているブリスベン空港からなら、ノーフォーク行きの便があります。
 ところが、5月4日に成田を立ち、5日にゴールドコースト着という今回のスケジュールでは、ちょっと無駄が多いことが分かりました。
 何より誤算(というか勘違い)だったのは、「ゴールドコースト行き」が「ゴールドコースト空港直行」という意味だったことです。ジェットスターがゴールドコーストまで2時間くらいかかってしまうブリスベン空港ではなく、30分で行けるゴールドコースト空港に就航していたのです。
 ノーフォークへの便は、水、土、日しか飛んでいません。となると、6日(水)にノーフォークに飛び、9日(土)に戻ってくるスケジュールが候補となります。
 この場合、6日早朝までにブリスベーン空港に移動しなくてはなりません。5日のよい過ごし方が思い浮かびません。また、日本の休日である5日、6日に、ほとんど運用できない可能性が高くなります。
 コンディションがよくなければ、ノーフォークでは退屈してしまいそうです。となると10日(日)にブリスベンに戻るというのは避けたいところです。
 などと考えて、ノーフォーク行きは断念することにしました。そのうち、無線仲間と出かけることにしたいと思います。


ハミルトン島が候補に浮上

 妻がハミルトン島はどうかと提案してきました。本土の沖に浮かぶ有名なリゾートなのだそうです。ジェット機が離発着できる空港があり、ゴールドコーストから毎日便が出ています。
 行き先をどこにするかまったく興味がなくなった私は、ハミルトン島でOKし、航空券やホテルの手配も妻に任せてしまいました。
 航空券は、希望通りのスケジュールで抑えることができましたが、ホテルは満室のところが多く、第3希望になってしまったそうです。
 今回は、ホテルはそこそこ贅沢することにしました(というか、ハミルトン島に行く時点で、ホテル代は高いことがほぼ確定)。ハミルトン島までの航空券がふたりで往復330ドルくらいと格安でしたし、交通費が安いことから、トータルでは費用が抑えられると考えました。
 さて、4月に入り、ふと思い立ってハミルトン島は、IOTAとしてはどういった位置付けなのかを調べてみました。すると、私と同期開局組のJK1FNNさんの 「お手軽珍島ランキング」というページが目に留まりました。
 2003年の情報ですが、ハミルトン島が属するOC-160は、レア度10.7%とのことです。これなら、少なくとも運用情報をネットに流しても恥ずかしくないレベルだと考えました。DXクラスターにも積極的にスポットしていただけそうに思いました。
 現金なもので、俄然、運用が楽しみになってきました。ベランダがあるホテルということで、 設備は、IC-7000とFP-30、SG-239、釣竿ワイヤーアンテナに決めました。


ゴールドコースト経由ハミルトン島到着

 5月4日夜、ジェットスター航空で成田を出発です。荷物の計量は厳しかったです。というのは、機内持ち込み荷物まで量られたからです。10kg制限のところ、9kg。「もう荷物入れないで下さい」と言われました。あと1kgあると思いましたが、背負っているリュックも量るように言われたら薮蛇なので、素直に返事しておきました。
 実際には、カメラなどは手荷物ではない身の回り品にカウントされるはずなので、重量は余裕を持ってクリアしているはずです。預け荷物もひとり20kgに収めています。マストを持っていかなくてもよい、ベランダアンテナならではです。
 食事がつかないので、成田で夕食を取り、さらに夜食を買い込んでの搭乗です。
 いつもは、飛行機で結構寝ることができるのですが、今回は非常に浅い眠りでした。理由ははっきりしていて、マスクをかけているためです。新型インフルエンザが心配された時期でした。マスクをしていると、寝苦しいですね。当たり前ですが。
 勤務先からは、業務上の海外出張は禁止になっていました。そんなとき、海外旅行で感染したら、かなり面倒なことになりそうでした。そこで、マスクをかけていったのでした。

 早朝、ゴールドコースト空港に到着、イミグレーションに並んで後ろを見ると、メーリングリストで航空券の情報をくれた無線仲間がいるではないですか。同じ飛行機だとは思っていましたが、席が後ろのほうだったのか、30人くらい後に並んでらっしゃいました。
 荷物はすぐに出てきました。そのままロビーに出たら、手配していたブリスベン空港までの送迎のドライバーがいて、すぐに出発となりました。
 したがって、入国後は無線仲間とは会えませんでした。

 ブリスベン空港まで車で1時間半ほどでした。

 
 ブリスベーン空港

 ハミルトン島までは、1時間強で到着。機内誌に掲載されているSUDOKUを解いている間に到着してしまった印象です。
 残念ながら、天気は雨。肌寒いです。

 
 ハミルトン空港

 
 WELCOME TO HAMILTON ISLAND

 コンドミニアムに到着しました。部屋は9階(イギリス式なので実際は10階)です。予約時に高層階をリクエストしておきました。

 
 目の前は北方向。海が広がっている(引き潮なので、かなり沖まで歩いて行ける状態となっている)。

 
 部屋は一番端。これなら、横に釣竿を突き出せば、
 上下階の目に留まらない。たいへん好都合。


 
 ベランダにはたくさんの鳥がやってくる。

 
 ところが、戸を開けたまま外出すると、餌を求めて部屋に入り込み、
 たいへんなことになるとのこと。声は大きく、正直うるさい。
 


運用初日(5月5日)

 あっという間にアンテナの設置が終わり、受信を始めました。18MHzでJAが聞こえています。SSBでCQを出している8J1P/1を呼び、0555zにハミルトン島からの初交信となりました。  その後、SSBでCQを出しますが、なかなか呼ばれません。なので、一交信に時間をかけてのんびり交信しました。
 30分ほど立ってから、CWに切り替え10分ほど経ったところから、1分間に2〜3交信のペースになりました。

 
 快調にCW運用中

 ところが、しばらくすると屋外で音楽演奏が始まりました。この音がうるさく、相手の信号が聞こえにくくなってしまいました。あわてて、オープンエアー型から密閉型のヘッドホンに切り替えることにしました。探すのに手間取り、10分ほどQRXとなりました。
 その後、SSBに切り替えました。CW以上によいペースで呼ばれ、たいへん楽しむことができました。
 結局、夕食に出かける寸前の0917z(現地時間1917)まで運用し、18MHz SSB、CWで266交信を達成しました。

 
 運用終了後、ピザで夕食。一人前を二人でシェアしても食べきれない...
 しかし、じつにおいしかった!


運用2日目(5月6日)

 翌日は、日本の連休最終日です。何も予定を入れてないこともあり、局数を延ばしたいところです。天気は今日も悪いです。雨こそは降っていませんが。
 2200z頃から14MHz CWで運用開始。15分ほどで、パイルになってきました。56交信で朝食へ。
 朝食後は、島内をバギーで巡る案内ツアーに参加しました。島内の一般観光客の足は、レンタルバギーか無料巡回バスなのです。


 このバギーは、ブレーキの利きがとても悪い。
 くれぐれも下り坂では注意をとのことだった。馴れるまではかなり怖い。



 宿泊したコンドミニアムを望む

 部屋に戻り、0403zから21MHz SSBで運用再開。10分ほどでパイルアップとなりました。30分ほどして呼ばれなくなったのを機にQRTし、シュノーケリングに出かけました。引き潮の時間になったので、サンゴ礁の近くまで歩いて行けるのです。フィンは、ビーチで借りられます。
 ところが、借りようとしたら、係員に「海が荒れているから止めておいたほうがいいよ」といわれてしまいました。うん、確かに沖に出るのは危なそうです。素直にいうことを聞いて、少しだけ海岸をうろつくに留めました。


 遠浅の浜辺。ゴミがまったくないことに気がついた。

 ところで、この頃、ハミルトン島では、あるイベントが開催されていました。オーストラリアのクイーンズランド州政府が「世界一素晴らしい仕事」と銘打って全世界から募集した「島の管理人」選考会の日だったのです。当初宿泊を希望していたホテルが満室だったのは、このためでした。日本の方も最終候補に残っており、同じ小林さんという苗字でした。
 ビーチからの帰り、衛星中継車を発見。少し離れたところで、携帯電話で「下馬評は高かったんですけどねぇ」なんて電話している記者らしきひともいました。


 フェリーで島にやってきたと思しき衛星中継車

 さて、部屋に戻って無線運用に復帰です。0603zから21MHz CWを運用、0916zまでの3時間強、21MHzと18MHzで運用、381交信、累計760交信となりました。
 私は、海外運用では、800交信をひとつの目標としています。早くも2日目で、800交信が見えてきました。

運用3日目(5月7日)

 この日は、2時間船に乗って、ポンツーンに向かいました。天気は悪く、海は相変わらず荒れていて、島のそばではダイビングが楽しめないのです。そこで、ポンツーンまでのクルージングに参加して、そこで潜ることにしたのです。
 ただし、そのような状態ですからダイビング客が殺到したようです。潜れるのは1本のみでした。
 透明度は悪かったのですが、サンゴ礁の光景と浮遊感覚を存分に楽しみました。


 ポンツーンに到着


 おおきなナマコ


 アネモネフィッシュの仲間だろうか


 ポンツーンの底には、すごい数の魚が群れている

 部屋に戻ったのは0700z過ぎ。今日は平日だからと期待していなかったのですが、18MHz CWでCQを出すと、かなりのペースで呼ばれました。
 その後、14MHzや7MHzも運用し、あっけなく累計1000交信を突破、1096交信となりました。


運用4日目(5月8日)

 有名なホワイトヘブンビーチにいく1日ツアーを予約していたのですが、悪天候で中止になってしまいました。午後からの半日ツアーが急遽催されるとのこと。
 天気を考慮し、参加するか迷った挙句、申し込みに行ったら、定員に達してしまったとのこと。妻は、とても残念がっていました。


 運用しながらの食事ができるのは、コンドミニアムのよいところ。
 スーパーで買ってきた食材で朝ごはん。


 代わりにシュノーケリングツアーに参加。浅いサンゴ礁は、色が鮮やかできれいですね。
 この日は、朝と夕方に運用。累計1202交信となりました。



 シュノーケリングは久しぶり


 ウェットスーツを着ていたので、浮力が大きく潜れなかった。
 浅いところはこのとおり、きれいに撮れた。



 ほぼ真上からの写真

運用5日目(5月9日)

 この日は、ハミルトン島の最終日。最後まで天気が悪いままでした。
 無線運用は、2100zから開始しました。朝食を挟みながら10MHz、14MHzで運用し、2249zに運用を終了。最終的には、1320交信となりました。
 この局数は、私の海外運用では、9M4SDXを別にすれば、最多交信となったと思います。好コンディション、好ロケーションに助けられ、大満足のDXバケーションとなりました。


 最終日の朝焼け。帰る日に限って、やや天気がよかった。

 ハミルトン島からゴールドコーストへの移動、そして日本への帰国については、別途NA8O/VK4運用記(というよりも旅行記)にまとめる予定です。


 ベランダにやってきたキバタン(オウムの仲間)。
 一説には、人間の3〜5歳児並みの賢さがあるとか。


運用の様子を振り返る

 今回は、ICレコーダーを用意して、(すべてではないのですが)交信の様子を録音してみました。
 録音を聞いていると、パイルを浴びている状況を思い出し、とても楽しくなります。一方で、自分の運用の下手さ加減を思い知ることにもなるのですが...
 CWでは、「なんで、こんなに聞き取りやすいコールサインを取れない?」なんて思うことが多いです。 交信中はそれなりに疲労が蓄積してくるんでしょうね。PC入力の操作ミスを挽回しようと一所懸命だったと いうケースも多いはずです。
 録音の一部をご紹介しましょう。

●私には、字間がない符号は取れない...

 海外運用のCW運用では、メモ用紙も筆記用具も置かずにPCロギング & PCキーイングということがよくあります。
 このような状況で交信パターンから外れた長文を打たれると、暗記受信が苦手な私は、まったく取れないことがあります。
 今回の運用では、何か疑問文を打ってくる局がいました。しかし、内容が取れませんでした。暗記受信で追いつかないというよりも、知らない符号が出てきて、そこで受信が止まってしまうのです。
 お聞きいただけるとわかるのですが、最初は nam と打っていますが、そのあと−・−・−という符合が聞こえてきます。私はこの知らない符号が聞こえたところで、受信が止まってしまいました。
 最初、nam は、nameだろうと思いました。しかし、名前ならその直後にアルファベットではない、何か記号らしき符号がくるわけありません。ならば、namは、私のハンドルであるnaoの聴き間違いだったのかも知れません。
 その後しばらく沈黙していますが、この間、メモが取れる紙と筆記用具を探し回っていたのです。しかし、見つけたボールペンはインクが出ない始末。その後、何回か打ち直してくる符号も −・−・− とか −−・・・− とか知らない符号だらけで取れません。
 zLogの設定を間違っていて、ろくにパドルからのキーイングができないなか、メモがないと(いう意味で打ったつもり)打ち返して、交信を一方的に終了してしまいました。

 後から録音を聞き直すと、name kazu hw? というのが正解のようです。ところが、字間が非常に短い部分があり、私の受信許容範囲を超えてしまっていたわけです。nam e −・−・− zu とか、nam −・−・− −−・・・− とか打ってきています。このオペレータは、kaを−・−・− と打つのが癖のようです。
 これくらいの符号の乱れは、取れない私のほうが悪いのでしょうか? このように、字間を極端に短く打ってくる局は、意外と多く(とくにJAを続けて打ってくるケースが多い)、少なくとも私は苦労しています。
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●がんばれJM3
 パイルの中では、少し弱い信号も積極的にピックアップするよう心がけています。ここでは、JM3を一所懸命指定しています。ところが、お聞きいただければ分かる状況です。1分間に2〜3交信できるペースで呼ばれているときに、一交信に3分もかかってしまいました。もちろん、他人がコールサインを盗用してイタズラしている可能性もあるわけで、その場合、さっさとその局に応答してしまえば、イタズラも止むのかも知れませんが、応答しないのは私のこだわりです。
 お聞きいただければ、「頑張れJM3、頑張れFNL」と思っていただけるに違いありません:-)
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●世田谷のアパマン局
 JF1LZQ櫻井さんは、富士山麗に別宅シャックをお持ちですが、この日は世田谷の自宅からお呼びいただいたはずです。とてもよく聞こえてました。アパマン、しかも低層階でも充分交信のチャンスがあることがわかります。
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●18MHz SSB運用開始直後
 運用開始直後なので、オンフレで強い局から拾っていきました。気持ちのよいペースです。
 お聴きいただく音声ファイルでは、最初のCQのあとの4分強の間に、自分のコールサインを5回もアナウンスして います。非効率なようですが、このアナウンス、あるいは「ありがとうございました」または「セブンティスリー」 (海外局向け)を交信の区切りとしてパターン化しています。コールサイン未確認での呼び出しや、フライング 気味の呼び出しを抑えることができ、交信ペースは上がると思います。
 その証拠に、このようにコールサインとありがとうを頻繁に口にしながらも、SSBでの運用では、5分間で17交信と いったこともありました。
 ちなみにCWでは5分間で12交信くらいが精一杯です。この違いは、PCログに打ち間違いをすると、 そのまま間違ったコールサインで送信されてしまうCWと、 入力は間違っていても正しいコールサインを口に出している間に修正作業が可能なSSBの差のように 思います。
 なお、私の声は非常に聞き取りにくくなっているのは、送信信号を小さい音量でしかモニターしていないためです。
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●51だったそうです
 友人の7K1NCPが呼んできてくれました。JA国内のコンディションがよいことが分かっていたので、スプリット指定が迷惑になると考えたため、オンフレで交信していたときです。やはり、コールバックがわからなかったとのことでした。
 こちらには、針を振ってしっかり入感していました。
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おわりに

 出発前は予想していなかった1320交信を達成。大満足のDXバケーションとなりました。

 運用記には、何局できたといった話が多く、いかにたくさんの局と交信するかのみに注力していたかのような感想を持たれたかも知れません。
 実際には、私はのんびりとした普通の交信も好きなので、パイルになる前は、そのような交信を楽しんでいます。
 今回の運用では、管理人選出で話題のハミルトン島ということで、交信いただく各局が島のことをご存知の場合が多かったようで、話が弾みました。もしかしたら、悪天候でホテルにこもり気味だった私より、 日本のテレビをご覧の皆さんのほうが、美しいハミルトン島の光景を多く目にされていたかも知れませんね。

 天気が悪かったのは残念でしたが、その分、アマチュア無線を楽しむことができたのかも知れません。
 ちなみに新型インフルエンザについては、テレビを見る限り、オーストラリア国内ではまったく報道されていませんでした。

 交信していただいた皆様、ありがとうございました。



      おしまい 2009.5.27